「イオンを創った女 評伝 小嶋千鶴子」東海友和著
この本を通じて、小嶋千鶴子さん、という女性の存在をはじめて知りました。
イオングループ創業者、岡田卓也さんの実姉で、父、母、姉をあいついで亡くしたことにより、幼い妹と弟の面倒を見ながら23歳の若さで、イオンの前身である「岡田屋呉服店」の代表取締役になり奮闘した女性です。
岡田屋時代は、女子社員といえば独身女性で、結婚と同時に退社するのが通例であり、パートタイマーという言葉もない時代でした。
その頃から、小嶋千鶴子さんは、日本もアメリカと同様に女性の社会進出が今後大きくなると予見していたのだそうです。
そこで、子育てを終了した女性人材を「奥様社員」として募集したところ、高学歴の奥様がたくさん応募してきて、先進的な取組みとしてすごい反響だったそうです。
小嶋千鶴子さんは、意欲と能力の基準を満たしていれば、性別、国籍、年齢、学歴、に関係なく、採用、任用、登用、を行ったとのことで、一方で、女性を理由とした甘えや逃げにも同調しなかったそう。
とはいえ、男女の差を全くなくすということではなく、出産前後、育児期間、復職についての十分な配慮をしていたということで、ダイバーシティ経営の先駆けをされていた方のようです。
また、ウーマンリブの風潮には賛同せず、男社会と競争する女性を好まず、能力のある人、一目置かれている人、実力の備わった人という一貫した女性人脈を持っていたのだとか。
私自身も、女性活躍推進コンサルティングの仕事に関わっていますが、男女間での競争、敵対、対立、からは何も生まないというのが信条なので、この考えには共感するものがありました。
今日、103歳でいらっしゃる小嶋千鶴子さん。
彼女の目には、今の日本の女性活躍の進み具合は、どのよう映っているのでしょうか。