「本当は大切なのに誰も教えてくれないVUCA時代の仕事のキホン」河野英太郎著
この本のタイトルとなっているVUCA(ブーカ)とは、
「Volatility」(変動性)
「Uncertainty」(不確実性)
「Complexity」(複雑性)
「Ambiguity」(曖昧性)
の頭文字をとった言葉です。
5~10年前に比べると、現代社会は、VUCAの度合いが加速し、世の中の仕組みやルールも目まぐるしく変わり、ますます先行きが見通せなくなってきています。
そのような時代において、ビジネスパーソンが生き残るために、どのようなことに心がけると良いのでしょうか?
この本で紹介されていることは、例えば、
・まずは「なくしたい仕事」を挙げてみよう
・今の時代だからこそ仕事の連絡に「電話」を多用しよう
・仕事とプライベートを分けるのをやめよう
・ミレニアル世代(20代~30代)に頼ってみよう
・先輩の世代をリスペクトして頼ってみよう
・メンバーの異動や転職をサポートしよう
など、何か画期的なこととか、まだ誰もやっていないような斬新なことではありません。
革新的な生き方や考え方を次々と提唱するなど、刺激的な発信や、攻撃的な論調の本や発信も目立つ中、あえて、
「これまでの仕事の形式を刷新しつつも、地に足の着いた仕事をすることが大切」だとした上で、日々の仕事に小さな工夫をするためのヒントが書かれています。
私自身も、どちらかというと、地道にコツコツとやることを信念としており、時にはそんな自分を、もっとうまくやれないかな~と、苦々しく思うことがあります。
しかしながら、この本を読んで、こういう時代だからこそ、人に対しての尊敬や親愛の念を大切にすることや、ビジネスの基本を確実に実行することが大切だというメッセージに、私個人としてはとても癒やされました。
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私自身の仕事にも直接的に関連している項目が、第3章の、VUCA時代のリーダーシップについてです。
私が代表を務めている会社は、企業の女性活躍推進の支援をする会社です。
教育研修プログラムの提供を行っているのですが、年間を通じて最も実施回数が多いのは上司向けの研修です。
その研修でお伝えしているメッセージと全く同じメッセージがこの本ではわかりやすく述べられていましたので、以下に要点を紹介します。
・変化の激しいVUCA時代は、上司がこれまで蓄積してきた経験やスキルも陳腐化して武器にならない
・VUCA時代のリーダーは、自分には才能がなくても、自分以外の才能あるメンバーに力を発揮させることで成果を出すことが必要である
・具体的には、ミレニアル世代の若者(2000年以降に成人した20~30代)は情報感度が高く、今の時代にあった解決策を持っている可能性が高いので頼ってみると良い
・お客様が多様化している中では、商品やサービスを提供する側が多種多様であることにより、多様なニーズに応えることが出来る
・外国人、シニア、女性、障がい者、海外居住者、博士号取得者など、多様な人たちが能力を発揮できるようにすることが重要
これからのリーダーは、自分のこれまでの経験や常識を疑い、また、同類だけでつるむのではなく、若者、女性、外国人、等、自分とは異なるプロフィールのメンバーと積極的に関わり、教えを請うたり、助けてもらえるような、そんな姿勢が大切だということです。
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「本当は大切なのに誰も教えてくれないVUCA時代の仕事のキホン」
リーダーも、これからリーダーになる人も、新入社員にも、役に立つ本だと思いました。